Close

トップページ

カテゴリー
家めし 外食
スイーツ おでかけ
ウェルネス 注目
映画 その他
Menu

つながっていく命、映画「2つ目の窓」ENJOY!!

2つ目の窓
20160327
映画カテゴリー:映画    ライター:F

河瀬直美監督の「2つ目の窓」を観ました。

同じ奈良県出身で、映画の舞台も奈良が多く、以前から注目していましたが、今回の作品の舞台は「奄美大島」です。

この監督の映画は観る人にとって、とても不親切です。

余計な説明は一切なく、暗いシーンはとことん暗く、セリフはぼそぼそで何を言ってるか聞き取れないことが多々…。

しかしそれがこの監督の特徴であり、良さであり、オリジナリティだと認識しています。

リアル」というニュアンスではなく「現実」という方が近いかもしれません。現実はそんなに親切なこと、ないですもんね。

スポンサーリンク

生と死、つながっていく命

2つ目の窓

奄美大島で生活している16歳の界人(村上虹郎)と同級生の杏子(吉永淳)。ある日、島の人々の相談を受けるユタ神様として生きてきた杏子の母イサ(松田 美由紀)が、難病で余命わずかなことがわかる。杏子を励ましながらも、神と呼ばれる者の命にも限りがあることに動揺する界人。そんな中、恋人のいる母・岬 (渡辺真起子)が醸し出す女の性に嫌悪感を抱いた彼は、衝動的に幼少期に別れた父のいる東京へと向かう。久々に父子一緒の時間を過ごして島に戻った界人だ が、岬の行方がわからなくなったという知らせが飛び込んでくる。

シネマトゥデイ

まずは予告編から。

この予告編、浜で死体が見つかるシーンから始まっていて、音楽の効果もあって、ミステリーな感じになってますが、ぜんぜん違います!

しょうもない言葉ですが、あくまでもヒューマンドラマであり、思想的なお話です。

生と死

ざっくりテーマはこれです。

2つ目の窓

冒頭の死体の発見やヤギの血抜き、母の死、台風で荒れた海など「死」を表すもの、色鮮やかな料理や樹齢4、500年のガジュマルの木、台風一過の澄み渡った海と珊瑚、そしてラストシでの主人公ふたりが肉体的に結ばれるシーンが表す「生」、これを行ったり来たりします。

命はつながっていく

この行ったり来たりを繰り返すことがストーリーを紡ぎ、母が死ぬ前に残す言葉「命はつながっていく」につながります。

よく「輪廻転生」と言って生まれ変わると考えられていますが、そうではなく、母・娘・孫と「つながっていく」ことがテーマです。

なので2度登場するヤギの血抜きのシーンも、命をつなげる行為であり、理解しやすいです。

こわくない

2つ目の窓

杏子(吉永淳)が制服を着たまま泳いでるシーンがあります。水面に出たところ、界人(村上虹郎)に「こわくないのか?」と問われます。彼女は「こわくない」と答えます。

また杏子の母は「死ぬことはこわくない、つながっていくから」というシーンがあります。

一方、界人はヤギの血抜きを顔をしかめて見ていたり、海で泳ぐことを拒んだり、母がいなくなって不安になったり、こわがっているシーンがいくつかあります。

女性は子を産めることから「生をつなげることができる」、だから「こわくない」ことに対して、何もできない男性は「覚悟できない」のかなーとか思ったりしました(杏子に「覚悟がない」と言われるシーンがあります)。

表現を増幅させることができる

界人は離婚して東京に住んでいる父に会いに行きます。

父は彫り師をしていて「絵を描きたい」といい、界人は「それは島でもできないのか?」と問います。

父は「東京は忙しくて、時間の流れが早い」ことに言及しつつ「特有の温かさがあり、表現したいことを増幅してくれる」と答えます。

2つ目の窓

このことから、奄美大島は「生(生む)の場所」であり、東京は「生(生活)の場所」なのかなーと思いました。

どちらが正しいとかではなく、海や森という生(生む)とビルや仕事という生(生活)があるということ。そして奄美大島は女性的で、東京は男性的な場所なのかもとかも思いました。

界人の母への葛藤

界人の母は離婚してからも、男が絶えません。浜で見つかった死体も母の男であり、その後も違う男と寝ています。そのことに界人は嫌悪感を抱き、その思いを直接母にぶつけます。

その直後、失踪してしまう母を必死で探し、その過程で杏子の父から「母の原動力は界人であり、あとは自然を謙虚に思うだけ」と諭されます。

この一連を「母は子を思う」ことは不動の事実であり、母がいろんな男に抱かれることは自然であり、それを界人が覚悟すること、と認識しました。

そしてこの件があって、ラストシーンへつながります。

海に抱かれる、自然を受け入れる

途中2度、杏子は界人に求めるシーンがありますが、界人はこれを拒みます。覚悟がなかったからでしょうか。

ラストシーンで、ふたりはマングローブの森の中で結ばれます。

2つ目の窓

そしてふたりで手を取り合って、台風一過の海を遊泳します。

制服を着たまま泳いでいた杏子はこのシーンでは裸です。「ベタベタするから」「こわいから」と拒んでいた界人も裸で泳いでいます。

杏子は「命をつないでいきたい」と考え、界人は「自然に謙虚に受け入れる覚悟」をした、名シーンだと思います。


いかがでしたでしょうか。

いつものChisa Memoと比べると、クソ真面目に書いてしまいました。

河瀬監督の作品は万人受けしにくく、エンターテイメントとしての映画が好きな人にとっては、ぜんぜん面白くない映画だと思いますが、世界三大映画祭の一つ「カンヌ国際映画祭」での評価も裏付ける通り、日本の文化を進化させ、世界に発信しているのは間違いのないことです。

わかりにくい作品群の中では割とわかりやすい方かと思いますこの「2つ目の窓」。河瀬作品入門にもいいかもしれません。

スポンサーリンク

Special Page

Ad Banner

スポンサーリンク

Recent Posts

Facebook

Ad Banner